同じフリーズドライ製造装置を持っていても、人によって完成品が違うのはなぜ?

真空凍結乾燥(フリーズドライ加工)は、同じ装置をつかったとしても、できるものは異なってきます。

フルーツなら、特に糖分がそれほど高くないものは、乾燥が比較的簡単で、どなたでも同じようなものが出来上がります。しかしながら、クエン酸が多いレモンや、当分がおおいフルーツや飲料については、作る方によって、作ろ時の棚温度の設定条件で出来栄えが違います。

なぜ、このように、当分やクエン酸が多いフルーツや食材は乾燥が難しいのでしょうか。それは、解ける時の温度が氷点下20〜15℃だからです。普通の条件で棚温度を上げていくと、この辺りの温度帯は通常、スーッと短時間で通りすぎる温度帯です。ここをあっさりっ短時間で通りすぎると、溶けてしまう温度ですので、ここで沸騰が起きてしまいます。

フリーズドライでは、溶ける寸前の温度帯で十分に時間をかけて乾燥しないと、出来上がりアブクが固まったように乾燥します。このようになると、試料中の細孔が崩れてしまい、特に含浸でチョコレートなどを染み込ませるときには、染み込みにくい材料となってしまいます。

スムーズに含浸させるためには、細孔を維持して乾燥させることが重要で、これが、一時溶けたことにより塞がってしまうと、チョコレートなどの含浸素材は染み込みにくくなってしまいます。

外注で乾燥させると、こんな複雑な乾燥温度プログラムにはなかなか付き合ってくれません。低温を長くすると、トータルの乾燥時間が長くなってしまうからです。そうなると、乾燥の委託料金を高くしないといけなくなります。

受託事業者としては、とにかく40時間で乾燥を完了させたい。これが一つの目安です。できれば22時間で乾燥させたいけど、無理な時は翌日となるため、次の収穫タイミングは40時間目となります。30時間で乾燥したとしても、誰も夜中に作業にはきません。ですので、1日で完走できなければ2日での乾燥となります。1日で乾燥できるものは、当然、お安くできるということになります。

同じ装置を買えば誰でもできる業界なら、どんどん乾燥業者が増えるはずです。また、フリーズドライ委託乾燥では細かい乾燥条件を試験できません。フリーズドライ製品を販売する、また、新しいフリーズドライ製品を開発する場合には、最低でも自社に1台、小型の真空凍結乾燥機が必要と言わざるをえません。とても奥が深い分野です。

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